なぜ地上界に生まれるのか（霊的知識の教科書：２）

なぜ地上界に生まれる必要があるのかを簡単にご説明致しますと、皆様が霊的成長を遂げる上で一番適した環境であり、肉体だからなのです。

ですが、さすがにこれだけでは説明不足なので、もう少し詳しくお話し致しましょう。

まず、何故わざわざ皆様の本体である霊体からの通信を受けにくくするような肉体を纏う必要があるのかを、ご説明致しましょう。

皆様は霊性におきましては、まだハイハイする事を覚えたばかりの赤子の状態なのですが、そこから霊性を磨いて成熟する為には実践経験が必要になってまいります。

地上界で実践経験を積み、学ぶ為の妨げとなるであろう記憶は全て、肉体を纏って地上界へ誕生した時点で思い出せないようになります。

霊的な記憶を持ち合わせて生まれた方が成長の助けになるとは、一概には言えないことなのです。

それらの記憶が邪魔をして、かえって地上界の秩序を乱し、全てを混乱に陥れてしまう可能性もあるのです。

それに、人間として生まれたがゆえに考えることや見えるものがあるにもかかわらず、霊としての記憶があるために、それらの経験を通してしか知り得ない知識を学び損ねるという弊害が生じる可能性もあります。

確かに、霊的な視野で全ての物事を判断することが出来れば素晴らしいのですが、地上界には地上界のルールがあり、物質を纏っているからこそ学べる、逆を言えば物質を纏っていないと学べない霊的知識というものがあるのです。

肉体に備わっている五感を通してしか学べない事柄があるのだということを、よく覚えておいていただきたいと思います。

学ぶ為には一度その対象から離れてみることも必要なのです。

物事の全体を把握したければ、近くでただ一点を見つめ続けるより、少し距離をおいてみた方が見通しもよく理解も早いのです。

肉体を纏い、地上界で暮らすということは一つのステップであり、全ての霊が経験することなのです。

決して皆様が劣っているというわけではないことをご理解いただきたいと思います。

霊性が成熟する為には避けては通れない環境であり、状態なのです。

にもかかわらず、何か思い違いをされている方が多いように見受けられますので、ご注意いただきたいと思います。

霊の状態が万能で、とても素晴らしいものであるかのような幻想を抱いておられる方々も大勢おられるようなので、この場を借りてはっきり申し上げておきますが、皆様の存在している地上界も霊界の一つの形であり、通信をお送りする際に皆様に理解しやすいように『地上界』や『物質界』と区別してお呼びしているだけなのです。

そして霊界と一言で申しましても、無数の境涯が存在し、その全てを把握できるのは全ての霊を創造された御方ただお一人だけなのです。

当然同じ霊界と申しましても、皆様よりも成熟している世界も未熟な世界も無数と思えるほどに存在しているのです。

これらのことを踏まえた上でご注意いただきたいのは、皆様が学んでおられる境涯が霊界全体でどのあたりに位置しているのかといった事を考え、気に病むのは全くもって無意味なことであり、何の足しにもなりません。

ですから、そのようなことは気になさらず、今置かれている環境の中でより多くのことに触れ、考え、経験し、知識を増し、己のものとして確信出来るように励んでいただきたいと思います。

字面を追いかけるだけで理解したつもりになるのは、国語を学んでいる方であればどなたでも可能ですが、確信を得るには経験を積むしか方法はないのですから。

実際に経験を積む時に気を付けていただきたいのは、ご自身の心の声に逆らわないことです。

違うと思いながらも、周りの方が善いと言うからといって、無理にことを成しても無意味なのですから。

是非ご自身が心から納得できることを行ってください。

例えそれらの行いが皆様にとっての善行といわれるものであれ、無理に従うこともなければ、それをしないと罪に問われるというものでもありません。

皆様にはそれぞれ霊的成長度に見合った経験をする必要があり、それがたった一つの善行と呼ばれる事柄とは限らないのです。

場合によっては、悪行と皆様が呼ばれている事柄を心から求めてしまう方もおられるでしょう。

ですがそれは、それらの行いを通してしか学べない事柄というものがあり、それゆえの行動であることを知る必要があり、当然のことながら多くの方々を悲しませた結果として因果が働くことも忘れてはなりません。

秩序を乱してしまうのですから、当然地上界の法により何らかの罰則が課せられることになるでしょう。

巻き込まれてしまう方にも何らかの因果が働いており、被害に遭う経験からしか学べない事柄を学んでいるのだということをよく覚えておきましょう。

なお、ここで申し上げております事柄は、私どもが知り得る知識をお伝えするものであり、善悪や優劣で推し量れるようなものではございませんので、ご了承ください。

あくまでも、霊的成長の為のシステムを説明するものであり、これらの事柄を推奨するものではございません。

（2008年2月18日）